西表、し尿処理施設完成 環境に配慮 黒島、小浜もカバー
【西表】し尿や生ごみを処理して堆肥化を図る施設「西表島汚泥再生処理センター」が高那の町リサイクルセンター隣接地に完成し、3月中旬から稼働している。現地で23日、落成式が行われた。同施設では西表島のみならず黒島や小浜島など周辺離島で回収したし尿も搬入、処理する予定で生活環境の保全や公衆衛生の向上が期待されている。
西表島ではこれまでバキュームカーで回収したし尿を石垣島などの島外へ搬出するなどして処理していた。同センターには生物学的脱窒素処理方式に高度処理設備を付加した最新の処理方式を採用しており、水質や臭気などの公害防止や環境保全に配慮した。
総事業費は18億4602万円で国の循環型社会形成推進交付金(5割補助)を活用。処理棟は地上2階、地下1階建てで貯留や高度処理、資源化、脱臭にかかる最新設備が導入されている。
1日当たりの処理能力は、し尿汚泥と浄化槽汚泥合わせて9・2㌔㍑、生ごみは20㌔。搬入された汚泥は汚水と分けて処理され、汚水は高さ11㍍の流動床の中で微生物によって分解し汚れを除去。最後は高度処理設備でろ過し、固形塩素剤で消毒した状態で沈砂池に放流する。
汚泥は脱水した後、サトウキビの副産物バガスを加えて発酵させ、約2週間かけ堆肥化する。センターでは袋詰めまでを行い、農地に還元する。処理工程で発生する臭気も脱臭塔で微生物によって濃度を調整した後、放出する。
落成式には町や工事関係者約30人が参加し、施設の完成を祝った。前泊正人町長は「循環型社会にふさわしい施設となっており、一般廃棄物処理行政の一翼を担うものと期待している。地域住民に親しまれ、生活環境保全や公衆衛生の向上に寄与できるよう管理運営に最善の努力を傾注する」と述べた。
管理運営は(株)八重山エンジニアリング(久貝佳之代表取締役)=石垣市新栄町=が受託。ことし2月の完成、試運転を経て、3月中旬から職員3人体制で施設を本格稼働させている。同社はバキューム車の効率的な受け入れや収集業者との搬入日調整を行うなど施設の稼働率向上に向け体制も構築している。
久貝代表は「汚泥を資源化できるという点が最大のメリット。バガスの再利用などリサイクルにもつながる」と期待した。
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