津波避難に車使用6割 アンケートで課題浮き彫り
多くの住民が車で避難しようとしたため、高台へ続く道路で渋滞が発生した=4月3日午前9時半ごろ、石垣中学校東側道路
津波警報発令後の午前9時41分。人が密集する場所が赤い矢印や丸で表されている(Agoopソフトバンク提供)
日ごろの備え作成、周知へ
石垣市は23日、台湾で3日発生した地震で発令された津波警報に伴う避難状況などに関するアンケートの結果を公表した。避難先への移動手段では自動車による移動が57%を占め、避難先として利用された一時避難ビルがわずか6%にとどまるなど、課題が浮き彫りになった。市防災危機管理課では市民への六つの呼びかけ事項を作成、今後の津波避難行動に生かされるよう周知していく。
アンケートは4月5日から14日までの10日間、市の公式LINEで実施。10代から80代以上までの1349件の回答が得られ、同課やDX課などが中心となって分析した。
その結果、回答者のうち74%が実際に避難行動をとった。26%が避難行動をとらなかったが、これには高台に住んでいる人も含まれている。避難先で多かったのは「近場の高台」(34%)、「指定避難所」(32%)だった。
一方、一時避難ビルの活用は6%と最も少なく、市防災危機管理課では「津波の到達時間が短時間の場合は一時避難ビルなど垂直避難が重要。今後、周知していきたい」と述べた。
避難先への移動手段では自動車が57%だった。当日は高台へ向かう道路で渋滞が発生したため、「避難に時間を要する危険な状況となっていることが判明した」と強調した。
同課の富浜公雄課長は▽津波災害警戒区域の確認▽緊急避難場所や津波避難ビルの位置の確認▽避難経路の確認―など津波への日ごろの備えとして6項目を呼びかけた。
避難時の実際の市民の動きを客観的に見ようとDX課では、ソフトバンクグループのAgoop(柴山和久社長、本社・東京)から携帯電話の位置情報を活用した人流データの提供を受けた。
警報発令前から避難までの人の流れを可視化することで、交通渋滞が発生した場所やタイミングなどの当日の実態を分析。避難経路の最適化など今後の避難計画の策定に生かしていくという。
中山義隆市長は「市民が情報を効果的に受け取れるよう避難通知システムの最適化を図ることや避難所の備蓄品のあり方、自主防災組織の活性化、海浜での津波避難情報の伝達方法が今後の改善点だ」と述べた。
アンケートの結果は市のウェブサイトから確認できる。
関連するニュース
- 「有事」想定 与那国で意見交換会 2024/08/03
- 避難場所の環境課題に 2024/05/21
- 津波警報対応で課題共有 2024/05/01
- 八重山に一時津波警報 住民ら相次ぎ高台に避難 2024/04/04
- 津波警報に緊張走る 2024/04/04
- 石川県から故郷に避難 能登地震 2024/01/21
- 津波想定し合同訓練 中学生ら園児抱え避難 2019/05/19
- 津波想定し避難訓練 ひばりの保育石垣のいえ 2019/05/16
- 石垣支所優先が過半数 竹富町議選 2018/09/04
- 石垣観光、9割が満足 市がアンケート 2018/08/08