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自治体の権限奪う恐れ  緊急時、国の指示権拡充

地方自治法の一部を改正する法律案の概要

地方自治法の一部を改正する法律案の概要

地方自治法改正案 政府が成立目指す

政府は、今国会で国が地方自治体に対して指示権を拡充する「地方自治法の一部を改正する法案」の成立を目指している。大規模な災害、感染症のまん延などに伴う被害において、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における特例」など3項目を規定する。有識者は「国と地方の対等な関係が損なわれる。改正地方自治法案は緊急事態条項導入の改憲をせず、法律の制定により、緊急時を口実に憲法で保障された自治体の権限を奪うもの」と懸念を示している。

 改正法案は、昨年12月21日の第33次地方制度調査会「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」を踏まえて総務省が国会に提出。

 大規模な災害、感染症のまん延など、国民の安全(生命)に重大な影響を及ぼす事態への対応として「国の指示」制度を創設するもの。

 法が成立すれば、個別法の規定では想定されていない事態発生で、国民の生命などの保護に必要な場合、閣議決定を経て指示できるようになる。

 法案の制度には、DXの進展を踏まえた対応、地域の多様な主体の連携及び協働の推進制度も盛り込まれている。

 この法案に対して名古屋学院大学の飯島滋明教授(憲法学、平和学)は「憲法の地方自治を大きく揺るがすものになる」と言及。国会で議論されている緊急事態条項を引き合いに「自治体の権利を奪う緊急事態条項。例えば戦争が起きれば、自治体の権限が戦争遂行の足かせになってしまうので、それを奪おうという狙いがある」と指摘。今回の改正地方自治法案について「(改正を)言い出したのはコロナ禍で首相を経験した菅さんのようだが、実際は憲法改正ができないので地方自治法を改正することで『実行してしまおう』ということが言える」と非難した。

  • タグ: 地方自治法
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