事業者、利益率低下 市23年度景気動向調査
- 2024年04月21日
- 社会・経済
石垣市はこのほど、市内事業者を対象に2023年度石垣市景気動向調査をまとめた。原材料価格の上昇や燃料費・輸送費高騰に対して6~8割が価格に上乗せしているものの、大幅な価格転嫁ができず、人件費の増加などで利益率の低下が起き始めていることが判明した。
調査は、石垣市内の経済動向に関する実態を把握し、効果的な経済支援策や事業活動の目安などの基礎資料とすることを目的に22年度から実施。23年度は昨年10月に商業関連の小売り、サービス(不動産、運輸、飲食、宿泊、ダイビング、その他)、工業関連の卸売り、製造、建設の計103事業者を対象に行い、51企業から回答を得た。
アンケート結果からは、仕入れ価格の上昇、賃上げによる人件費増加や諸経費(水道光熱費・家賃など)のコストが収益を上回り、利益率の低下を招いていることが鮮明に。価格転嫁は、商業・工業で6~8割の企業が積極的に行っているが、仕入れ価格や輸送料の上昇幅が大きく、市は、思い切った大幅な価格転嫁ができず利益率低下につながっている事業者が多い、と分析。
原材料価格の上昇、供給面の制約で受けている影響については▽価格転嫁の値上げにより、売り上げが伸び悩む(小売り)▽燃料や部品価格の上昇で利益率低下(運輸)▽ガソリン制約のため配達範囲を拡大できない(その他・サービス)▽請負額と工事費の乖離(工業)▽価格転嫁で客の購買意欲が低減(同)―などの厳しい声があった。
一方、人手不足に関する調査では、商品・サービスの質の低下で売り上げ減少につながっている状況も見られた。人材不足は、主に島内で就職を希望する若者の少なさを要因にあげた。条件に見合った人材が見つからず、労働環境が厳しいといった印象が浸透していることも足かせになっている。
人手不足対策では、業務の細分化によるパートタイムの職種増や従業員のマルチタスク化に取り組む宿泊業者も。このほか賃金・処遇改善、高齢者・外国人の採用、従業員の兼務化など企業努力も見られる。
今後、高齢化による退職者の増加が「さらに人手不足を深刻にしていく」とし、根底に「少子高齢化とつながる労働力人口の減少がある」との結論を出している。
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