大嵩地区で待望の散水式
デモンストレーションとしてスプリンクラーで行われた散水を、歌三線に合わせて喜ぶ関係者ら=19日午前、大嵩地区
散水式で給水栓のバルブを回して給水栓を開栓する受益農家の山崎雄一郎さん=19日午前、大嵩地区
石垣市が国営土地改良事業石垣島地区の関連事業として2021年度から3カ年かけて給水栓15カ所などの施設整備工事を実施した大嵩地区(受益面積8・5㌶。受益農家9戸)で19日、名蔵ダム水系からの農業用水が供用開始された。市が現地で散水式を行い、地域住民と関係者らが喜びを分かち合った。同地区の農家はこれまで水道水にホースをつなぐなどして散水してきたが、ほ場に隣接する給水栓から農業用水の使用が可能となったことで農作業の効率化と経済的負担の軽減が図れることになる。
2014年度の国営事業着工後、西部地域の新規受益地に農業用水が供給されるのは今回が初めて。むらづくり課によると、ほ場1000平方㍍で年間480㌧の水を使用した場合、使用料は水道水で8万184円だが、農業用水だと約14分の1に当たる5900円に低減される。
同地区でマンゴー、パイン、サトウキビを生産する山崎雄一郎さん(44)によると、水道水は水圧が弱いためマンゴーハウス4棟では1棟ずつしか散水できなかったが、給水栓からだと一度に4棟に散水できるという。「散水の作業量はこれまでの4分の1になるのではないか。労力も経済的負担も減る」と喜んだ。
散水式は山崎さんのほ場で行われ、中山義隆市長は「これまで上水を自前で運ぶなど苦労があったと思うが、これから水あり農業となるので付加価値の高い農産物の生産と収益の向上を」と期待した。
大嵩公民館の根間章館長は「大嵩地区は砂地が多く、野菜を植えても葉が枯れ、サトウキビを植えても干ばつのときは葉が赤くなっていた。これからは水まきができるようになり、大嵩の発展と農業の豊作が期待できる」と感謝した。
国営事業を担う沖縄総合事務局石垣島農業水利事業所の安武秀一所長は「国営事業は今年度で6割の進捗率。今後は北部への供給を進めていく。この成果が地域農業の維持発展につながると考えている」と述べた。
石垣島地区は、国が五つのダムを連結して島内全域に送水管を、市と県が関連事業として末端のほ場までの水路などをそれぞれ整備するもの。国は2028年度、市・県は32年度の完了を予定する。大嵩地区で市は給水栓15カ所、農作業道814・9㍍を整備した。事業費2億5360万円(国80%、県15・5%、市4・5%)で農家負担はない。
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