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イリオモテヤマネコとカンムリワシ 種間共存の仕組みDNAで解明

共存の仕組みの一端が解明されたイリオモテヤマネコ(環境省提供)とカンムリワシ

共存の仕組みの一端が解明されたイリオモテヤマネコ(環境省提供)とカンムリワシ

 琉球大学大学院理工学研究科修士課程学生(現・京都大学大学院理学研究科博士課程学生)の戸部有紗氏らの研究グループは、西表島のイリオモテヤマネコとカンムリワシの食性をDNAを用いた手法で解析し、資源の限られる小さな島での種間の共存の仕組みの一端を解明した。同研究成果は、国際学術誌「Scientific Reports」に2日付でオンライン掲載された。

 研究では、西表島の食物連鎖の頂点を占めるイリオモテヤマネコとカンムリワシの餌資源を巡る競合に着目。両種の食性を、従来の手法より解像度が高いと期待されるDNAバーコーディング法により調べた。解析の結果、両種から検出された餌は異なる特徴を示し、両種が資源をうまく使い分けることで小さな西表島での共存が可能になっていることが示唆された。

 研究グループは夏季と冬季、イリオモテヤマネコとカンムリワシのふんを採集したほか、林野庁沖縄森林管理署と西表野生生物保護センターからもふんを入手。DNAの解析情報をもとにそれぞれの餌動物を特定した。

 その結果、餌動物の構成内容が両季節ともに種間で有意に異なることが分かった。共存機構の一部を解明されたことで、今後の保全活動に生かされることが期待される。

 イリオモテヤマネコとの出会いが野生動物の研究や保全への興味を持つきっかけになったという戸部氏は「学術研究や保全に関わる成果として貢献できたことは大変うれしく思う」と話した。同氏は現在、石垣島でカンムリワシと特定外来生物のオオヒキガエルの関係についての研究を進めており、「こちらも保全につなげたい」と意気込みを語った。

 論文は次のアドレスから確認できる。https://doi.org/10.1038/s41598-024-58204-6

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