津波警報に緊張走る
八重山地方に3日、津波警報が発令され、緊張が走った。津波の高さは3㍍。予想到達時刻は9時10分~30分。警告音が鳴り響く。住民らはそれぞれ近くの避難場所や高台に避難して待機。警報から注意報に変更され、「何もなくてよかった」と安堵した。一方、石垣市街地では避難先に向かう車両の列で渋滞が起きるなど避難方法に課題もみられた。
市総合体育館に避難した80代女性はリハビリの送迎車両に乗って移動。「家に1人でいなくて良かった。最近、(国内でも)地震が多くて怖い」と不安そう。平得の保育園から園児8人を連れて駆け付けた職員は「訓練が実になってすぐに来られた」と話した。
真栄里の自宅にいた移住者の40代女性は地震発生後、一度屋外で様子見。近隣住民に「高台に逃げたほうがよい」と言われたが、高台がどこにあるか分からなかったが、総合体育館を教えてもらい、5歳の娘を乗せて車を走らせた。「地域の訓練には参加したことがなかった」と日ごろの訓練の重要性を認識した様子だった。
バンナ公園南口に親子で避難した仲宗根夏代さん(33)=新栄町=は「警報を聞いてすぐ向かった。バンナ公園管理事務所付近では防災無線の音も聞こえず、情報が入ってこなかった。今後は避難バッグをあらかじめ用意し、すぐ持っていけるようにしたい」と話した。
一方、市街地から高台に向かう道路は車列ができ、移動に時間を要した。バンナ公園南口を訪れた住民のうち通事邦浩さん(82)=新川=は「早く家を出たけど混んでいて大変だった」、飼い犬とともに避難した仲大底洋文さん(33)=新栄町=は「渋滞していて、ここに来るまで時間がかかった。渋滞に巻き込まれるので、車で避難するのは良くないと思った」とそれぞれ課題を口に。
警報解除後、交通整理を手伝っていた石川ますみさん(32)=新栄町=は「普段ならすぐ来られる距離だけど、想像以上に渋滞で進まなかった。災害はいつ起きてもおかしくないので見直そうと思った」と話した。
石垣中学校東側道路も渋滞が発生。父親とともに徒歩で避難した高校1年の女子生徒は「逃げるときは必要最低限のものを持ち、車で行かずに徒歩で行く。学校で教えられたことを実践できた」と話し、小学2年と同3年の娘2人を連れて駆け付けた40代男性も校舎4階から見える車列に「車で避難しようと思ったが、以前の避難訓練を思い出して徒歩にした。ちょっとの距離でも車だと渋滞に巻き込まれ、避難が間に合わなくなる」と危機感をあらわにした。
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