西表島世界遺産センター設計進む 26年度供用開始目指す
基本設計で示された西表世界遺産センターの鳥瞰図。手前側が県道215号線、左側に大原庁舎が予定されている
展示室のイメージ。導入部分ではサキシマスオウノキのレプリカが出迎えるなど世界自然遺産の意義や価値などを伝える(いずれも竹富町自然観光課提供)
5つの展示室/生物多様性を体感
竹富町は西表島大原で建設予定の西表島世界遺産センターの実施設計を進めており、今年度の着工と2026年度中の供用開始を目指している。昨年度まとめた基本設計によると、バリエーション豊かな五つの展示室による施設内展示と生物多様性を体感するフィールド展示を予定、西表島の魅力や世界自然遺産の価値を肌で感じる施設として計画している。地域イベントなどで使用できる多目的スペースやセンターとは独立したカフェも整備、地域に根ざし開かれた施設を目指す。
同センターは西表島の価値や魅力を来訪者へ分かりやすく伝え、保全するための課題や取り組みについて理解を深めてもらうことなどを目的に設置するもの。建設場所は西表離島振興総合センター北側の空き地で、西側隣接地には大原庁舎(大原複合防災拠点施設)建設が予定されている。
基本設計によると展示は▽守り、つなぐ▽共有し、行動する▽おどろき、気づく▽探り、知る―の四つの視点で展開する。導入部の基本展示ではサキシマスオウノキの原寸大レプリカを設置するほか、地元の子どもたちが日常的に利用できるスペースには壁面体験ツール、資料、情報端末などを常設する予定。後半の詳細展示では島の自然や生物のリアルな映像、写真データを活用したウォークスルーシアターを作り上げる。
島の生態系の一部を再現するフィールド展示は敷地内東側の既存池を活用。水辺の整備や食草、樹木などの植栽で生き物のすみかとなる環境をつくる。周囲にはデッキや飛び石を設け、来訪者だけでなく地元小中学生などが誰でも安全に楽しく観察できるような整備計画となっている。
このほか奄美大島、徳之島、沖縄本島の位置関係や連続性を体感するように縮小スケールで再現した羅針盤モニュメントも予定。観光客の利便性確保に向け十分な規模の駐車場やバリアフリートイレ、休憩施設なども整備する。
町自然観光課の通事太一郎課長は「世界、日本、遺産登録地の中での西表島の価値や特異性などを多角的な視点で理解してもらうコンセプトとなっている。デジタル、アナログの両方を活用した楽しみ方ができ、地元住民やこどもたちが地域の自然を学び直す施設にもなる」と期待感を示した。
同課によると展示や建築、設備工事などを含めた建設費用は基本設計段階で約12億3000万円。補助率8割の内閣府の「沖縄振興特定事業推進費」を活用する。
昨年度、実施設計完了までを予定していたが、積算業務に時間を要したため5604万円を今年度に繰り越した。実施設計は9月完了予定で年度内着工を目指す。工期は約2年を見込んでいる。
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