石垣港、特定利用港湾に指定 中山市長「整備の前倒しに期待」
政府は1日、「有事」に備えて平時から自衛隊や海上保安庁の艦船が使用できる「特定利用空港・港湾(特定重要拠点施設)」に石垣市の石垣港を指定した。今後、港湾利用の手続きや調整を簡略化する「円滑な利用に関する枠組み」を設けるため、防衛省沖縄防衛局、海上保安庁第11管区海上保安本部、港湾管理者の石垣市は、内閣府沖縄総合事務局の協力を得て連絡・調整体制を構築し、具体的な運用に向けて意見交換を行う。指定を受けて中山義隆石垣市長は同日、記者会見を開き、考えを明らかにした。
「政府における総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議」で特定利用港湾に石垣港が決まった。自衛隊や海保が使用しやすい状況をつくることで港湾機能を強化し、部隊展開、国民保護、災害対応などの訓練を行う。
昨年10月、関係省庁の担当者が市役所で市関係部局に説明を行った。その後、中山市長の判断で合意に至った。
指定を受けて中山市長は、現行の石垣港港湾計画に基づく港湾機能強化の整備が、国から新たに予算が付けられて前倒しで進むことに期待した。具体的には、既存計画にのっとり水深の掘り下げ、災害に強い耐震岸壁整備、人工島と市街地を接続する橋の新設などを見込む。
質疑応答で中山市長は、指定により港が攻撃対象になる可能性について「現況の港湾でも、有事やグレーゾーンの際には自衛隊や米軍が使用するので、指定されてもされなくても攻撃対象になることに関して差はない」とし、指定による地域へのデメリットは「ない」と断言した。
米軍の使用が増える点を問われ「指定により米軍の利用回数が増えるとか、利用状況が進むとは思わない」と否定。あくまでも、日米地位協定で米軍の港湾利用は可能だとした。
市民への説明や合意形成については「(指定で)自衛隊施設が新たに整備されるわけではない。これまでの港湾計画も変わらないので、市民に説明して合意形成は必要はないと考える」と述べた。
また、沖縄県が管理する空港が指定されなかったことについて、引き続き県へ合意するよう働きかけを行っていく。滑走路延長などの整備費用は、県に振り分けられている現行予算ではなく、新たな予算獲得を目指し「国に対して一緒に声を挙げていきたい」とした。
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