八重山毎日新聞社

　校歌には力がある。その校歌に踊りを振り付けた校歌ダンスにも、世代を超えて母校や地域の誇りと人々を結ぶ深い絆があることを痛感した。竹富町立古見小学校、石垣市立平久保小学校閉校式のニュース映像である▼在校生はもとより地域や教育関係者ら出席者全員が老いも若きも校章の入った小旗を両手にかざし、誰もがほほ笑みをたたえつつ踊る。地域への感謝と胸中にさまざまな思い出がよみがえっているのだろう、思わず胸が熱くなった▼かつて市史編集室に在籍した縁で事業のひと区切りの懇親会に連なったことがある。当時の室長は故崎山直先生。その発案で出身校の校歌ダンス大会とあいなった。規模の大小かかわらず学校対抗、出席者全員で楽しく踊り、心に残る一夜を過ごした▼登小と八重高の校歌ダンスなら、70代を前にした今でも踊れる自信があるが、二中は校歌がない頃の「若い力」を歌った世代。時を経て社会に出て子育て盛りの頃にようやく校歌ができた▼その作詞者がかの崎山直先生。「大石垣のまほろばに」など格調高い歌詞に「若い力」世代のわれらも母校の歴史と伝統を思った。改めて感謝の意を強くする▼どなたの胸にもともる地域と母校、人々の絆。両校の閉校式の報道に、それらを強く思い、それぞれの地域の弥栄を願った。（慶田盛伸）