養殖サンゴ日本初輸出 八漁協種苗生産部会 台湾で展示
4㌢四方の着床基盤で育成されたウスエダミドリイシ(提供)
初輸出された養殖サンゴの前に記念撮影する八漁協サンゴ種苗生産部会の砂川部会長(右から2人目)と識名教授(左から2人目)、台湾横浜八景島の役員ら=2月27日、台湾桃園市内の都市型水族館「Xpark」(提供)
技術や環境教育 交流期待
八重山漁協サンゴ種苗生産部会(砂川政彦部会長、11人)が2月下旬から、台湾桃園市の都市型水族館「Xpark」でサンゴ保全の啓発などを目的にウスエダミドリイシの展示を行っている。サンゴの輸出はワシントン条約で許可が必要とされており、人工養殖の手法などが認められた。民間取引で日本からサンゴが輸出されるのは今回が初めてとなる。環境教育と養殖技術の交流が期待される。
同部会は漁場の再生などを目的に崎枝湾でサンゴを養殖しており、今回輸出したミドリイシは卵を収集して行う有性生殖法を用いて着床基盤(4㌢四方)で1年10カ月かけて育成したもの。20個搬入した。輸出の手続きを行ったAIネット㈱は「経済産業省から輸出許可が出されたのは、有性生殖法という人為的に管理された繁殖手法だったことが大きい」としている。
同部会は22年8月、㈱横浜八景島が品川プリンスホテル敷地内で運営する水族館「マクセルアクアパーク品川」と、水槽設備などを手掛けるAIネットとサンゴの研究・教育に関する協定を締結している。アクアパーク品川は21年9月、同部会から提供された養殖サンゴのヤッコミドリイシの人工海水を使用した閉鎖循環水槽内での産卵に国内で初めて成功している。
台湾のXparkも横浜八景島の現地法人(台湾横浜八景島)が運営しており、今回の輸出は域外保全の取り組みと日本・台湾の養殖サンゴの比較展示を通したサンゴ保全の啓発を図ろうと実現した。
2月27日の展示開始セレモニーに合わせ、部会の砂川部会長と名嘉貴也部会員が現地を訪れ、砂川部会長は「八重山漁協でも修学旅行での海洋教育ツアーを受け入れ、普及啓発に努めている」と報告、台湾横浜八景島の荒川潤代表は「今回の事例をきっかけに今後もサンゴを通した台日交流、環境啓発を継続していきたい」と語った。
台湾横浜八景島と海洋保全に関する協定を結んでいる石垣市出身の識名信也台湾海洋大学教授は「これだけ大きな装置を海に設置してサンゴ養殖を行っている事例は世界的に見てもまれではないか」と部会の取り組みを評価した。
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