進む自衛隊機能強化 石垣駐屯地、開設から1年
陸上自衛隊石垣駐屯地が16日、石垣市平得大俣地区での開設から1年を迎えた。この間、米軍艦船が2度石垣港に入港し、自衛隊と米軍の共同訓練も行われ、自衛隊と米軍の一体化を強く印象付けた。防衛省は、駐屯地の敷地を拡張するため新年度に民有地を取得する方針だ。一方で「有事」の際の住民の島外避難計画や地下避難シェルター計画が議論を呼び、自衛隊配備に伴う「抑止力効果」に懐疑的な意見もある。(8面に関連、9面に駐屯地司令一問一答)
島嶼防衛を想定した日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」は昨年10月、駐屯地内と新石垣空港で実施された。駐屯地では日米共同調整所の設置や米海兵隊の対空レーダーの運用、空港では陸自オスプレイによる負傷者輸送訓練を行った。
自衛隊配備は海洋進出を強める中国を念頭に置いたもので、石垣市でも「有事」を想定した議論が活発化している。中山義隆市長は、市役所隣地に整備する防災公園の地下へ駐車場を兼ねた一時避難施設「シェルター」設置を正式に打ち出した。26年度中の完成を目指す。議会も住民の島外避難計画を調査・研究している特別委員会が国民保護計画の内容の改善を市に求めた。同計画はことし4月から改定作業に入る。
駐屯地は敷地面積約47㌶だが、さらに拡大される可能性がある。警備、新隊員教育、災害対処の各訓練のため西側にある民有地を取得して拡張を計画する。現駐屯地内でも施設建設が進んでおり、24年度に木工所、車両整備場、火薬庫1棟が完成する。グラウンドや覆道射場(射撃場)の整備は24年度以降とみられる。
駐屯地に近い開南公民館は、駐屯地内での小銃による空包訓練計画に「爆撃音がはっきり聞こえる環境は私たちが望む平穏な生活とは真逆だ」と反対の意思を表明、中山市長に面会して訴えた。
一方、駐屯地着工前には、石垣市住民投票を求める会が1万4000人余りの署名を集めて配備計画の賛否を問う住民投票を中山市長に直接請求したが、議会で賛成少数で否決された。その後、求める会のメンバーは、有権者の4分の1の署名の場合に実施義務を定めた自治基本条例(改正前)に基づき2件の訴訟を提起。1件は最高裁で棄却され、もう1件は係争中で法廷闘争が継続される見通しだ。
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