竹富町 海岸利用の野営規則策定へ
国が認定する自然体験活動促進計画の策定を目指す竹富町は、これまでルールがなく、利用実態が不明だった西表島海岸での野営の状況を把握し、環境保全と適正利用に配慮した計画づくりの動きを加速させている。同計画は国立公園の魅力を活用した自然体験活動の提供に関する方針を西表島エコツーリズム推進協議会が作成し、質の高い自然体験活動の促進を目的とするもの。今後、ガイドラインや管理計画、利用区域などを確定。定められた地域で最小限の野営ができるようにする。
国立公園内でのテントなどの設置は環境省への許可申請が必要で、認められる対象も学術研究など公益性があるものに限られている。
利用ごとに申請が必要で、事前に野営場所の地番の確定が必要なほか、許可が下りるまでにある程度の期間要することから利用実積はほとんどない状況だった。
国が認定した西表島エコツーリズム全体構想では、これらの現状を踏まえて規則が不十分と判断。課題を積み残した形で、野営は原則禁止としていた。
その後、22年度の国立公園法改正で自然体験活動促進計画を環境大臣が認定する制度が創設されたのに合わせ、同協議会野営ワーキンググループで海岸を利用した野営についてのルールづくりを検討。西表の西側を中心に9カ所を野営可能エリアとして計画する。
候補地の選定に当たっては、ウミガメの産卵やアジサシ類の繁殖に支障が出ないほか、植生帯の踏み荒らしがないような十分な浜の奥行きなどに配慮した。
野営地の利用は、シーカヤックなど自然のリスクや危険性などについて専門的な知識を持つ同協議会加盟のガイドが帯同するバックカントリーツアーが対象。小規模グループの最低限の利用を想定。今後、ワーキンググループを中心に議論を進め、具体的な計画を作成する。
これまでもシーカヤックツアーなどで野営が行われていたと見られるが、実態の把握ができないでいた。22年9月には、島南西部で天候悪化で動けなくなった3人がヘリコプターで救助される遭難事故も発生している。
環境省や町は、自然体験活動促進計画を策定することで、ルールを明確化。西表島の多様性を発信するとともに、利用実態を把握し、適正な公園利用や安全確保に役立てていきたいとしている。
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