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県内の公立高校で一斉に卒業式があり…

 県内の公立高校で一斉に卒業式があり、約1万3千人の生徒が学び舎を巣立った。一般的に高校は制服のため、卒業すると自分で服を選ばないといけない。「服装は自由」。これほど難しいものはない。卒業生はこれから、新生活に向けて服を買うことになる▼ちなみに沖縄本島にはファッションブランド店が多くある。ほしい商品が店頭にない場合は、オンラインで注文することになるが、事前に試着できない難点がある▼例えば、くつを少し小さなサイズで妥協するとすぐ足が痛くなり、ジャケットもウェブ表示と現物で色が違ったりする▼個人的な話だが、予想より暗い色のジャケットを買ってしまい、合うズボンが思いつかず、着ないまま1年たった。しばらくして薄いベージュ色のズボンが似合うと知った。いまでは3日に1回のペースで着回している▼子どもがファッションに興味を持つと「色気づいている」と思う大人がいるかもしれない。哲学者の鷲田清一さんが言うには、思春期前の子どもは親の着せ替え人形で「子ども」という制服を着せられている。自分で服を選ぶことは自我の芽生えの一つといえる▼卒業生はこれから社会人として、学生としてそれぞれの道を歩む。もうすぐ春。不安もあるだろうが、新たな門出はお気に入りの服で。(玉津盛昭)

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