武力攻撃事態に相互応援 国民保護計画
指揮系統を明文化
石垣市・竹富町・与那国町は19日、武力攻撃等の発生を想定して「八重山地区武力攻撃等相互応援協定」を締結した。武力攻撃等の際に、3市町で連携して現地へ互いの職員派遣、飲食料や生活必需品、電源関係・通信機材、避難・収容施設・住宅を提供する。現場での指揮系統などを明文化することで互いに効果的な支援を行っていく。
3市町は八重山で「武力攻撃災害等」を想定して、国民保護計画で「近隣市町村との協定」がうたわれていることを根拠に応援体制を明文化した。
応援項目は▽職員派遣(避難・救助・救援・救助活動等)▽緊急輸送路・輸送手段の確保▽医療支援▽武力攻撃災害等に対処するための物資や資機材提供▽その他国民保護措置等に必要な事項―など七項目。
原則、応援時の指揮系統は応援を要請した自治体が担う。被災自治体と連絡が取れない場合は自主的に情報収集や応援支援を行う。
締結式で中山義隆石垣市長は、国において対話による平和外交が「最も重要」と前置きし、北朝鮮の弾道ミサイル発射や中国による尖閣諸島海域への度重なる「領海侵犯」に懸念を示しつつ、「国境の諸島なので、武力攻撃という緊急事態に対処するいとまがなく、3市町が協力することで被害の軽減、対処すべき事態等、対応策は大きく構築されるだろう」と期待した。
前泊正人竹富町長は、町内の各島から第一次避難所の石垣島に移動する手段が「ほとんど海上輸送に限られている」とし、町単独で町民避難は「現実的に不可能なので、今回の締結は大変意義がある」と語った。
糸数健一与那国町長は、2022年8月にナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問への対抗措置で、中国のミサイルが日本の排他的経済水域に着弾したとして、「中国は明らかにピンポイントで与那国島や先島諸島をやる(ミサイルを撃つ)よと、日本をけん制している。3市町が協定書を交わして、先島の住民が安心して事なきを得られるような体制を国や県に求めていきたい」と述べた。
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