年を重ねるきざしだろうか、折にふれ昭和期の…
- 2024年02月06日
- 不連続線
年を重ねるきざしだろうか、折にふれ昭和期の映画館がなつかしく思い出される。字大川、2号線沿いに3階建ての丸映館、沖映館があり、石垣との字界を超えてすぐ赤瓦2階建ての万世館があった。親世代は「ばんせいかん」と呼んだ▼丸映館は洋画も多く、沖映館は邦画。学校単位の映画見学が許される文部省推薦が多かった記憶がある。万世館はいわゆる大人向けや任侠(にんきょう)もの、「不良番長シリーズ」といった、やんちゃな中高生憧れの映画が多かった。まちかどには手書きの広告看板が所狭しと掲げられ、劇中スチル写真の掲示も市民の期待感を高めた▼トイレは臭く、館内はたばこの煙でもうもう。上階は割増料金、売店のお菓子はなぜかチューインガムとレーズンのみ。上映中、しかもいいところでフィルムが切れれば指笛、口笛で「早く直せ」と抗議の嵐▼「ひんぎばい」の武勇伝が語られる一方、近くの路地裏では他校の怖い先輩にカツアゲされた話も▼昭和の隆盛今いずこ。時代は移り映画館も建て替えられたが、それもつかの間、フィルム配給やデジタル化対応などでやむなく映画館の灯が消えた▼あの頃に戻れなくとも映画を見たい。旅先ではなく石垣で映画を見る楽しみを、恋しや映画館。決して1人だけの「たわごと」とは思いたくない。(慶田盛伸)
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