樽舞湿地に鳥獣保護区 特定重要拠点空港・港湾整備
【与那国】有事の際の自衛隊や海上保安庁による国民保護活動などを見据えて政府が整備する「特定重要拠点空港・港湾」について、候補地となっている「与那国港湾」の一部の比川・樽舞湿地が国の鳥獣保護区に指定されていることが分かった。保護区では狩猟が認められていないが、開発規制はない。環境省は、開発行為などを行う場合には事前通知を求めている。
鳥獣保護区は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に基づき指定されるもの。与那国町の保護区は2010年11月1日に指定され、30年10月31日まで20年間の期限。
島内保護区は、島の中央東付近に位置する宇良部岳を中心とした地域から田原川にかけての湿地帯、久部良岳を中心とした西部地域、樽舞湿地で構成され、特別保護区と保護区域の面積は島の約半分を占める。
指定区域の多くは亜熱帯広葉樹林帯。リュウキュウガキ、スダジイ林、ビロウ群落などが大部分を占め、ミズガンピ群落や国内唯一のヤワラケガキの生育が確認されている。
保護区内では、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(通称:種の保存法)に基づく国内希少野生動植物種のヨナクニカラスバトやキンバト、クロツラヘラサギ、アカヒゲなど希少な鳥類の生息や飛来が確認されている。
保護区の保護に関する指針では▽ヨナクニカラスバトなどの保護を図るため適切な管理に努める▽モニタリング調査を通じて鳥獣の生息状況の把握に努める▽鳥獣の生息環境を脅かすような人の不用意な行為やごみ散乱による生息への影響を防止するため、現場の巡視や普及啓発活動に取り組む―とされる。
保護区では狩猟が認められていないが、特別保護地区とは違って一定の開発行為を規制する措置はない。環境省石垣自然保護官事務所の担当者は「与那国町などから開発に関する正式な話がないのでまだ分からないが、国指定の鳥獣保護区なので何かあれば事前に知らせてほしいと伝えている」と話している。
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