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戦争の悲惨さ後世に ワークショップや講話を開催

多くの市民や親子連れが参加した市平和フォーラム=28日午後、市民会館中ホール

多くの市民や親子連れが参加した市平和フォーラム=28日午後、市民会館中ホール

市平和フォーラム

 石垣市主催の2023年度平和フォーラムが28日、市民会館中ホールで開催され、多くの市民や親子連れが参加。大切なものを奪ってしまう戦争を疑似体験するワークショップや八重山平和祈念館学芸員の綿貫円氏による八重山の戦争マラリアについての講話を通して、平和の尊さや戦争の悲惨さについてあらためて考えた。市平和大使として昨年8月、広島と長崎に派遣され、慰霊式や平和祈念式、平和の集いなどに参加した児童生徒4人による感想文の発表も行われた。

 綿貫氏の講話「八重山の戦争マラリア」では、氏が行った戦争体験者への聞き取りや戦跡の調査結果なども交えながら戦時下の八重山の人たちの生活や鉄血勤皇隊、於茂登岳の陸軍病院や開南の野戦病院で働かされた女子学徒などについて当時の写真や現在も残る戦跡の写真などとともに紹介した。

 大勢の人がなくなった戦争マラリアについては▽八重山にも米軍が上陸するかもしれず、島民を戦闘に巻き込まないため。作戦の妨げにならないため▽島民は軍の情報を詳しく知っていたので、捕虜となった場合に情報をもらさないため▽牛、豚、鶏など住民の養っていた家畜を軍の食料とするため―軍命により強制的にマラリア有病地に避難させられたと説明。「マラリアによる死亡者は3647人。空襲や艦砲射撃で亡くなった直接戦争死亡者の178人より多い」と強調した。

 綿貫氏は「スパイ容疑がかけられるのでカメラなどは使えず、写真などにほとんど残っていない。八重山の戦争マラリアではどんなことがあったのかを知り、伝えていってほしい」と呼びかけた。

 ワークショップでは、配布された3色のカードに自分にとって大切に思う人やもの、場所などを記入。空襲で通信用の鉄塔や発電所が破壊されたり、男女問わずさまざまな年代の人が戦場に送られたり、軍隊に動員されたりと戦争が始まるとカードに書いた大切なものがどのタイミングでどのように失われるのかを学んだ。

 市平和大使として広島や長崎を訪れた八重山高校1年の大城洋輔さん、石垣中学校3年の崎山莉奈さん、野底小学校6年の田中れんかさん、八島小学校5年の前上里珠吏さんは、平和大使として現地で学んだことや感じたことを発表。来場者らに平和の尊さを訴えた。

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