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羽田空港に向かう飛行機から房総半島が…

 羽田空港に向かう飛行機から房総半島が見えることがある。海が陸をかむようにぎざぎざになったところに目を凝らすと、港が連なっているのがわかる。房総の港はかつて突き棒漁でにぎわった。海を泳ぐカジキに船から直接もりを投げて仕留める漁だ▼与那国島でも盛んだった。往時を覚えている年長者もいるのではないか▼1984年の報告書によれば、房総の港町のひとつ、千葉県七浦から突き棒漁を行う船が台湾へ初めて出漁したのは31年。日本が統治していた台湾で、基隆から花蓮までの沿岸を漁場にしていた▼島出身の突き棒漁経験者から話をうかがったことがある。台湾で突き棒漁を覚えた人が複数いらっしゃった。島で生まれ、学校卒業後に台湾へ渡り、港町で仕事にありつき、技を身に着けたのだ▼では、台湾の突き棒漁は、だれが、どこからもたらしたのか。戦前の専門誌は大分、長崎、愛媛、香川などの漁業者が「経験ある旗魚突棒漁業」をしていたと記す。「旗魚」はカジキのことである。一方で房総からも参入していた▼日本各地から台湾に伝えられた漁法を、島の人たちは持ち帰っていた。島の航跡を振り返るには、海で生きた人の視野を忘れずにいることだ。陸の上でルーティンの生活を送るばかりでは、イメージが遠のいてしまう。(松田良孝)

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