セリ価格下落止まらず 八重山・黒島子牛
- 2024年01月17日
- 社会・経済
JAおきなわが運営する八重山家畜市場と黒島家畜市場で行われた初セリは両市場とも昨年の落札価格を大きく下回る厳しい幕開けとなった。価格の下落とともに新型コロナウイルス禍や飼料価格の高騰なども続いており、子牛の生産農家を苦しめている。さらなる値下がりに拍車をかけかねない新たな懸念材料も浮上。農家らからは「赤字続きで先行き、不安しかない」「牛を続けても地獄、やめても地獄」などの悲鳴の声が上がっている。
県内の子牛セリ価格の年平均は、2010年度ごろから上昇し、16年度には75万円を記録。八重山・黒島家畜市場の落札価格も上がり続けたが、20年は新型コロナによる店舗の臨時休業など外食産業での牛肉需要が減少、21年には持ち直したものの22年に再び大幅減となった。価格の低迷とともにウクライナ侵攻に伴う飼料高騰や物価高などが生産農家の経営を直撃している。
13日から行われた今年を占う初セリは、八重山が49万9111円(前年同期比6万6353円安)、黒島が44万4349円(同10万550円安)と低調な取引に終わった。
国は海外の和食ブームを追い風に、牛肉の海外輸出拡大を進めるが、大規模市場中国へは、日本で発生したBSEや口蹄疫に伴う禁輸措置が解除された今も輸出の実現には至っていない。
人口減少や物価高などで冷え込む国内需要の中、巨大市場への輸出再開は生産農家たちの悲願となっている。市内の農家の男性は「中国への輸出拡大を念頭に国は増頭を進めてきたが、これでは赤字が増えるばかりだ」と終わりの見えない不況に不満を漏らした。
新たな懸念材料も持ち上がる。北海道で拡大する乳牛を借り腹とした子牛生産だ。和牛受精卵の移植で産まれてきた子牛の上場が増えつつあるという。島内の関係者らは「これは想定外だった」と指摘。農家らは「酪農農家からすればおまけみたいなものだが、こちらは専業でやっている。今後もこのような牛が全国の市場に流れてくると、さらなる価格の下落が起こる。遠い八重山まで購買者が来てくれなくなる可能性もある」と不安を口にした。
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