八重山毎日新聞社

　本屋が好きな人は、きっと県議会の委員会審査も好きになる。まず、誰もが知っている本屋について話そう▼本屋では陳列棚をみているうちに気になる本が出てきたり、目的の本の隣にある本に魅力を感じたりする。でも、この経験はスマートフォンでポチポチ押す買い方だと体験できない古風な行動になりつつある▼県議会の委員会は当局が提案した予算や条例、地域住民の陳情などを審査する。その様子はウェブでライブ配信されており、誰でも視聴できる▼那覇支局は1人勤務。デスクトップ型とノート型のパソコン2台にスマホ2台、タブレット1台の計5端末で、複数の委員会を同時視聴することがある。議員の意外な提言や、当局の新たな答弁をチェックする▼なお、委員会が始まる前に議員である委員長は「この委員会は動画配信されています。個人情報を発言しないように」と注意喚起する決まりがある。ある委員長は、議会事務局の配布した原稿に、ひらがなが多くて読みにくかったらしい。散会後、若い職員に「お前」と言いながら苦情を伝えた▼ここまで動画配信されている。県議会で職員を「お前」と叱責し、社会に発信したわけだ。議員のパワハラまがいの発言をみられることも委員会の楽しみ。おもしろい本に出会うことと似ている。（玉津盛昭）