田里氏「島の要塞化進む」 糸数町長「丸腰ではダメ」
- 2023年12月15日
- 政治・行政
【与那国】政府が防衛力強化の一環で整備を計画する「特定重要拠点空港・港湾」の候補に与那国空港や与那国新港が選定されているとの報道があったことについて、田里千代基氏が14日の町議会で国からの具体的な質問の有無をただしたのに対し、糸数健一町長は「ゲスの勘繰り。そういう話は全くない」と否定。「島の要塞化が進んでいる」との懸念を示した田里氏に対し、糸数町長は「理解不能。与那国の地理上、丸腰ではいけない。滑走路を延ばしたから戦争が始まるということはない」と応酬、議論は平行線をたどった。
重要拠点としての空港・港湾整備は、有事の際の自衛隊や海上保安庁の部隊展開や住民避難などへの利用を目的に、国が整備を進めている。報道によると、9道県32カ所が選定されているという。
与那国新港は、比川地区の樽舞湿地を掘削して港を造る計画が持ち上がっており、掘削予定地は環境省の「日本の重要湿地500」に選ばれていることから自然保護などの観点からも懸念の声が挙がっている。
田里氏は、ミサイル用地取得の予算がついてから島は激変しているとし、「国からの情報をもって(町長が)独断で動いているようにしか見えず、そこに町民は不安を持っている」と住民や議会への適切な説明を求めた。
重要事案をなぜ町民に説明しないかを問うた田里氏に対し、糸数町長は「国家は国家の考えがあるが、私は基本的に国家が必要とするものに対しては賛成する側」とし、「あなたのような質問には拒否する」と述べた。
与那国空港の滑走路延長については、今も2000㍍あり、年間150万人の観光客が来島する石垣空港と同様の長さにあることから、田里氏は延長の必要性を疑問視。糸数町長は「与那国町は500㍍の土地を既にほぼ購入済みで、めいっぱい民間利用するためだ。インフラ整備は民間や町ではまず難しい」と答弁した。
また、自衛官の割合が町民の2割を占め、今後ミサイル基地ができることにより3割を超える予想を示し、「島の自治に影響が出る可能性があるが、これでいいのか」とただしたのに対し、糸数町長は「いいです」と明言した。
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