八重山毎日新聞社

　今年の世相を漢字一文字で表す今年の漢字に「税」が選ばれた。一年を通して増「税」議論が活発に行われたほか、4万円の定額減税やインボイス制度、ふるさと納「税」など、税に関するさまざまな話題が続いたことなどが反映されたという▼長い新型コロナの影響から抜け出し、ようやく経済が回復基調となる中、岸田首相が打ち出した防衛力強化に向けた増税と、所得・住民税の定額減税。「増税」と「減税」相反する二つの税で議論が続く▼このほかに全国的な猛暑を反映した「暑」や「熱」、物価高を背景とする「高」「増」など生活の厳しさを表す漢字も上位にランクインした▼一方、ＷＢＣや阪神の日本一、大谷翔平の活躍など野球の盛り上がりから「虎」「球」「翔」「侍」などが並び、新型コロナの5類移行で日常が戻ったことを喜ぶ「楽」「明」もトップ20に入った▼八重山で考えてみると「有」「防」などが上位にきそうだ。台湾有事が取り沙汰され、自衛隊の石垣駐屯地が開設。有事の際の九州などへの住民避難計画が示され、防衛拠点となる「特定重要拠点空港・港湾」に新石垣、与那国空港など挙げられている▼今年の漢字は公益財団法人日本漢字能力検定協会が主催するものだが、来年はどの漢字になるのか。明るい漢字を期待したい。（下野宏一）