石垣駐屯地拡大へ 防衛省、来年度にも用地取得
- 2023年12月09日
- 政治・行政
陸上自衛隊石垣駐屯地=石垣市平得大俣=の施設を西側へ拡大するため、防衛省は2024年度、新たに民有地を取得する予定であることが8日、沖縄防衛局への取材で分かった。取得目的は「警備訓練、新隊員教育、災害対処訓練などをするため」としたが、米軍との共同使用については明言を避けた。施設を拡大し、2025年度以降に新設部隊の配備や自衛隊員を増員する可能性については否定しなかった。防衛省は、取得にかかる関連経費を24年度の当初予算に計上する。
取得予定地は、大里農道を挟んで南北にまたがる。現在も牛を放牧している土地もあるが、牧場は今月末で閉鎖の見込み。土地の所有者は沖縄本島の不動産会社。防衛局は、土地の取得時期や費用、面積について「今後、相手方と調整があるので、答えは差し控えたい」と回答。取得予定地の中に公有地も含まれているかについては「(取得するのは)民有地を念頭に置いている」とした。
一部で、拡大予定の施設で米軍と実動・図上訓練の想定が報じられている点については「自衛隊において使用するため」としたが、ことし10月の日米共同訓練(レゾリュート・ドラゴン23)では石垣島に臨時の前線基地を設けて米海兵隊の最新鋭レーダー「TPS―80」が石垣駐屯地に展開しており、今後も共同訓練実施の可能性があるとみられる。
石垣駐屯地はことし3月16日に開設。敷地面積は約47㌶。12式地対艦誘導弾を担う第303地対艦ミサイル中隊、03式中距離地対空誘導弾を扱う第348高射中隊などで編成。八重山警備隊は新編。隊員は約570人とされている。
同局広報は、施設拡大後の自衛官増員について「常備自衛官の定数は令和6(24)年度末までは約570人のままを予定。令和7(25)年度以降の部隊改編については、検討中で決まっていない」と否定しなかった。
石垣駐屯地周辺の農家によると、防衛省は今回の取得用地のほかに大里農道南側で新たな土地を買収するため地権者へ接触しているという。さらに自衛隊関連施設の拡充も予想される。ある地権者は「敷地をどんどん広げて、自衛隊員も1000人規模になるそうだ」と話す。
防衛省は、ことし8月の概算要求で石垣駐屯地関連費用として約131億円を示している。担当者は使途について「用地取得に加え、覆道射撃場整備、隊員とその家族が居住する宿舎整備等にかかる経費」と述べた。
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