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イノシシ被害増加 石垣市内農作物、件数倍増

バンナ岳の東側で芋畑の被害状況を確認する富永政斉さん(手前)と辻維周教授=11月29日

バンナ岳の東側で芋畑の被害状況を確認する富永政斉さん(手前)と辻維周教授=11月29日

生息数、出没場所拡大か

 石垣市内でイノシシなどの有害鳥獣による農作物被害の区域が拡大している。市に寄せられる被害件数は2019年度の70件から22年に149件と倍増。紅イモ農家によると、県営バンナ公園南側の石垣浄水場近辺で、野生イノシシに芋畑を荒らされる被害が発生。「この1、2年で今までなかった場所で起きている」と話している。

 紅イモの三大害獣はイノシシ、キジ、ネズミとされている。このうち、イノシシに芋畑を掘り返される被害が後を絶たない。被害拡大の要因について農家の間では生息頭数の増加、開発に伴う生息地を奪われたイノシシの移動など、さまざまな臆測が流れている。

 バンナ岳東側の麓でイモを栽培している富永政斉さん(47)は「ことし春からイノシシが畑に出てきている」と話す。6月に苗を植えた芋畑の周囲は侵入防止ネットを張っているが、畑内に入ったイノシシに掘り返されて無残な姿に。「1㌧は収穫する予定だったが、この状況だと100㌔も採れるかどうか」と声を落とし、「あと2年ほどでイノシシは市街地にも出没するのでは」と心配した。

 県道211号新川白保線(リースン道路)沿いでイモやサトウキビを栽培している40代男性は「ことしからイノシシが出るようになった。夜中、8頭の群れが畑を荒らしていた」と困惑する。

 開南地区のパイン畑では苗の芯がイノシシに食べられるケースも。同地区は陸上自衛隊石垣駐屯地と目と鼻の先にある。パイン農家の30代男性は「自衛隊駐屯地の工事が始まったあたりから開南で被害が出るようになった。工事で餌場や棲む場所を奪われたイノシシが、駐屯地の外側に活動範囲を広げているのかもしれない」と推測した。

 アクセス道路(県道石垣空港線)の工事が進む「牧中」でも、イノシシによる農作物被害の報告が挙がっている。

 農家や猟友会関係者からは「イノシシの数が増えていろんな場所に出ている」「ことしは干ばつで山に水がなく、畑や人里に下りているのかもしれない」などの声があるが、いずれも因果関係は不明。市農政経済課の担当者も直接的な原因については「特定できない」としている。

 同課への有害鳥獣の被害報告は9月末時点で71件(被害額356万円)。同課は被害報告を受けた後、駆除実施者に駆除を依頼している。自己防衛のため、畑の周囲に設置するワイヤメッシュの導入も進めている。

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