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八重山病院付属伊原間診療所が終了

18年6カ月北部地区の住民に寄り添ってきた今村昌幹医師。今後は八重山病院で患者を診察し、在宅医療にも力を注ぐ=11日午前、伊原間診療所

18年6カ月北部地区の住民に寄り添ってきた今村昌幹医師。今後は八重山病院で患者を診察し、在宅医療にも力を注ぐ=11日午前、伊原間診療所

18年余診察の今村医師に感謝

 県立八重山病院付属伊原間診療所の巡回診療が11日で終了した。1961年2月に開設され、北部地区の住民生活を支えてきた。住民らは診療所との別れを惜しみつつ、18年6カ月にわたり診察を続けた今村昌幹医師(67)に感謝を込め花を贈った。

 午前9時半前、今村医師、看護師、研修医、事務、運転手を乗せた車が診療所に到着。待機していた住民が「これまでありがとうございます」と言葉をかけ、ひまわりを手渡した。

 普段通り診察室で準備を進める今村医師。1970年建造の診療所には、エックス線室と思われる部屋、壁のヒビが歴史の歳月を感じさせる。

 「最近は歩いていますか」と患者に話しかける今村医師。和やかな空気感が患者に安心感を与える。

 45歳から診療所に通う比嘉靖弘さん(73)=久宇良=は、血圧の薬を処方してもらうため訪れた。「先生には検診や食事の相談にも乗ってもらい、いつも楽しみに通っている」と診察室に入った。妻の千鶴子さん(71)は「両親も診てもらい思い出深い場所。待合室はゆんたくルーム。血圧の薬をもらいに来たのに、会話が盛り上がり血圧が上ることもあった」と笑顔。同じく久宇良から通う河上咲子さん(68)は石垣島に移住して12年目。「主人の母を在宅で診てもらい、最期をみとることができたのも先生のおかげ。診療所がなくなれば、過疎化を加速させるのではないか」と不安そうに話した。

 86年、中部病院から八重山病院に赴任し、90年から伊原間で診察を続けてきた今村医師は「田舎の診療所は好きだよ」とほほ笑む。患者数減や医師不足、建物の老朽化など診療所を取り巻く環境の変化に触れ、エピソードを話してくれた。「診察した患者さんに『おばーを診てほしい』と家へ呼ばれた。寝込んだおばーが息を引き取るまで、お手伝いすることができた。その後も在宅で何人か送り出せたことは、医者冥利(みょうり)に尽きる」と回顧。 

 11日、午前中9人の診察を終え診療所内の明かりは消えた。患者からは、北部地区が衰退しないためにも石垣市へ今後の支援策を求める声が上がっている。

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